満足度★★★★★
鑑賞日2019/02/11 (月)
明治座にて豊川悦司さん原作の『夫婦漫才』を観劇。
阪神タイガースが優勝した2003年、大阪・道頓堀での老夫婦の会話シーンから物語がスタート。最初は特に意識していなかったこの2003年という時代設定が最後に大きな存在感を示すとは思いませんでした。激動の昭和時代を生きた一人の大阪人女性の生涯を描いた人情喜劇。どんな環境で生まれ、どんな人々と出会い、どんな人間性が構築されていくのか、そのプロセスがとてもよく描かれており、笑いを誘う場面も織り混ぜつつ、決して違和感のない設定が素晴らしかったです。夫婦漫才を出来ること自体が幸せなことだと思いますが、様々な困難に立ち向かいながらもその漫才と共に生き続ける主人公の夫婦像が何とも温かく力強く映り、終始感動しっ放しでした。昭和時代を当時の映像や音楽で振り返りながら進めていく流れも個人的に大好きな手法であり、改めて昭和の激動ぶりを感じました。この手の作品を観ると、自分が生まれる前の出来事であってもどこか懐かしくほっこりした気持ちになるのは不思議なものです。時代回顧した後、再び2003年のシーンに戻るエンディングでは完全に涙腺が崩壊しました。人間いつかは終わりがやってきますが、長年一緒にいた相棒を失うときの心情は計り知れないような気がします。“漫才の出囃子のように同時に旅立てたら”というシーンは印象深く、妙に共感してしまいました。主演の大地真央さんはオーラが半端ない。夫役の中村梅雀さんとの相性もバッチリで、村上ジョージさん、川崎真世さん、竹内都子さん、野添義弘さんらのキャスティングも絶妙でした。まさに笑って泣ける名作。素敵な作品でした。