満足度★★★
団地住民たちの奇妙に歪んだエゴばおりなすグロテスクな芝居です。現代の密室とも言える団地の不条理劇とも言えます。
ピアノを弾く女の子を持つ主要家族ヤマモトの部屋が舞台。そこにドアを大小7,8個もつけて、その部屋の中央のテーブルの上に、4階住人のコスギがずっといる。つまり、そこが彼の部屋、という演出・美術は巧みでした。巨大団地の閉塞感、プライバシーのなさがビジュアル化されていました。
ピアノのメロディーの美しいのに、なにか苛立たせるようなリズム。眠れぬ夜の妄想を、小学生用科学セットのクラゲ飼育に例えるイメージ、才気を感じます。当時、シーモンキーがはやったこと、一緒に見た妻と後で盛り上がりました。
役者は皆テンション高く、芸達者。「山の声」の山田百次、「逢いにいくの、雨だけど」の異儀田夏葉、「誰も知らない国」の有薗芳記さん。それぞれ別人のようでした。