プライムナンバーセブン 公演情報 teamDugØut「プライムナンバーセブン」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    現在と高校時代を往還させ、過去の忌まわしい出来事への復讐といったノアール劇。嫌悪感が半端ない物語、逆にそれだけ素晴らしい公演である。
    (上演時間1時間40分)

    ネタバレBOX

    セットは2階部を設け、1階では主人公ハルオが素数の研究と称し、パソコン製造にある仕掛けを施している作業場であり執務室。2階上手側はハルオの妻、そして寝たきりの愛人がいる部屋。真ん中にロボットスーツ、下手側に別スペース(ハルオの弟アキオの部屋のようだ)。

    梗概…ハルオは高校時代に苛めにあっており、そのトラウマを抱えている。一方、弟アキオはそんな兄を軽蔑していた。時は流れ、ハルオは何時しか数式に秀でてパソコンの製造を生業にしていた。そのパソコン名は”プライムセブン”であり、盗撮機能を内蔵している。これによって人の弱みに付け込むなど、人格破壊へ陥れていくようだ。高校時代に苛めていた旧友の金銭的弱みに付け込み奴隷化する。また弟を廃人同様に追い込む。弟の恋人を無理やり自分の妻にする狂気。

    一方、高校時代の苛めの1つ、ブスで誰にも相手にされないクラスメイトとキスをさせられる。その女は自分自身を変えたく整形外科へ。男・女ともに苛めという過去に囚われ鬱屈した人生を歩んでいる。整形で顔を変え、キスされた男・ハルオの事務所で働く女・サダコ。現代と高校時代を往還し人格変貌を浮き彫りにする。
    また、ハルオが販売しているパソコンを購入したイソノ家の出来事を狂覗する。そこでは表面的には平穏を装う家族がいるが、心底では胡散臭いことを考えている。物語全体で人間の内面、ドロドロとした厭らしさを抉り出す。まさにノアールの真骨頂である。

    パソコン、数学の難問(素数など)など理屈で生き、個人情報の不正取得、情報操作など現代社会に潜んでいる恐怖を垣間見せる。他方、復讐・横恋慕など人間の感情が奔流しているようだ。人間は「理」だけでは御せず「情」との間で揺れ動く”狭間の狂気”、それこそが人間が持つ本質を突いているのではないか。この難しい表現を、役者陣がしっかり熱演しており観応え十分であった。
    次回公演を楽しみにしております。

    0

    2019/01/26 08:41

    1

    0

このページのQRコードです。

拡大