満足度★★★★
椅子や机、ベッドにドアが散乱した舞台、雑多なようで緩い統一感があって心地良い。音楽はクラリネット、アコーディオン、チェロなどの生演奏が実に美しく効果的であった。また多くの場面では10人以上の人物が舞台上にいて躍動感をもたらしている。老婆の殺害シーンも周りから何人もが観ているのが不思議な感覚である。そういう舞台美術、音楽を含む演出は満足度5つ星である。
だがしかし、主役の三浦春馬さんのセリフが聞き難く、何度も聞き取りをあきらめた。さすがにストーリーの大筋は頭に入っているので飛ばし飛ばしになっても話の流れを見失うことはなかった。三浦さんもゆっくり話すときは明瞭だが、少し急ぐと発音があいまいになってしまう。もっとゆっくり発声すれば良いとは思うものの100分+20分休憩+100分の長丁場をこれ以上延ばすわけにはいかないだろう。難しいところである。他にも何人かセリフが聞き取りにくい役者さんがいたのでシアターコクーンの音響のせいとか私の耳のせいとかいうこともあるだろう。ソーニャ役の大島優子さんのセリフがひときわ明瞭に聞こえたのはファンゆえに心の耳で聴くからかもしれない。
セリフの問題を除けば舞台を眺めているだけで楽しい。お勧め。長いけど。