逢いにいくの、雨だけど 公演情報 iaku「逢いにいくの、雨だけど」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    異儀田夏葉さんと尾方宣久さんの、物語の中心にいる2人の俳優の凄さを感じさせる作品であったと同時に、彼らの感情の変化などを、2人の間に入る人や過去に登場する人々を配することで見せていく戯曲と演出の素晴らしさも感じられる作品であった。

    ネタバレBOX

    子どもの頃の事故と絵本が、離れてしまった2人を引き寄せる。

    絵本作家になった金森と、彼女の幼なじみで片目を負傷してしまった大沢の、気持ちと葛藤と変化を、見事に見せてくれた。
    声高になる球場職員の風見がいることで、2人の心の中にあるであろう感情を、より鮮やかに浮かび上がられる脚本が素晴らしい。

    大沢が、事故を「許す」ということではなく、自分の中に「納得」という形でしまっていたということがよくわかるのだ。
    「許す」「許さない」としてしまうことで、自分が生きてきた今までの生活を、否定してしまうことになってしまうからだろう。

    「事故」と「絵」というダブルな「負い目」がある金森の感情も、「相手」があってのものなので、その微妙な揺れ動きが伝わってくる。

    この金森を演じた異儀田夏葉さんが素晴らしい。大きく感情を表すわけではないのに、観客から距離のある舞台の上で、彼女の気持ちや感情の変化、葛藤などが見えてくるようだ。ちょっとした台詞のニュアンス、タイミング、視線等々でそれが伝わってくるのではないだろうか。

    対する大沢役の尾方宣久さんも、淡々としていつつも、実は心の中での葛藤があることが、その台詞の端々からうかがえてくるのだ。この変化が自然であるし、より強く伝わってくる。

    俳優さんたちの凄さを感じた舞台であったと言ってもいいだろう。

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    2019/01/09 07:38

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