満足度★★★★
フィクションであるのだけれども、この作品の存在は、作の蓬莱竜太さんの身を削る感覚ではないか、などと思った。
それだけ「痛い」のだ。
言ってはいけないことを、つい言い合ってしまうのは、やはり家族だから。最後の一線を越えてしまったと思っても、朝がくれば「家族」という本当の最後の一線がかろうじて残っている。そういう関係は、実は幸福であることを舞台に観た。
言い合えるから、「誤解」や「わだかまり」も、(少しは)切れることがあるということ。
つまり、この作品を観ていると齢を重ねていくことで、そういう「(朝になっても)最後に残る関係」が徐々になくなっていくのだという悲しみを、感じざるを得ないのだ。私のような年齢になると、かなりリアルに。