ネバーマインド 公演情報 ヌトミック「ネバーマインド」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    ヌトミック、ちゃんと観た初めての機会であった。正月お楽しみ公演の趣、あるいはこれがスタンダードか。三部構成、第二部にゲスト参加あり。独特だが、肉体駆使、世の非対称な力関係という毒をまぶし、「パフォーマンスの為の」との要素で舞台芸術をいじる側面も。
    「これは演劇ではない」と題された企画に選ばれた栄誉?に十分応えつつも、面白がるが勝ちとばかりやりたい事やってるのが良く、音楽要素が濃いのも好みである。
    この日は爆弾持ちのゲストがまんまと爆弾を落としたが、ハプニングさえ計算に入れたよう、コーナーを仕切った俳優2名に功労賞。エンタメ部門から観劇開始した本企画、この後も楽しみ。

    ネタバレBOX

    第三部は楽器演奏、指揮者付き。演奏ネタのコント。第二部の終わり、ゲストに「○○さん選んで下さい、過去それとも未来」と去り際に訊けば、「未来」との回答、「では」と演奏されたのはバックトゥザフューチャーのテーマ(「過去」と答えても同じ曲だろう、過去と未来を行き来する映画なので)。ギター、サックス、アコーデオンの三人と、長い指揮棒を持った指揮者。演奏が始まると、演奏者のとちりを発見した指揮者が指揮棒を相手に突きつけて睨み、中断。失敗すると何度も中断される。実は第一部のアレンジ版である。第一部では指揮者に当たる女が長い棒を床にコンコンと左右に叩き、それに合わせて棒をよけて左右に跳ぶ者、バスケボールをドリブルする者、縄跳びをする者が、失敗するまでカウントを進める。10クリアすればその数は保存され、先へ進むが、前進しているようできりがない。失敗のたびに「指揮者」は「ネバーマインド」と言い、三人の選手は種目を入れ替わる。一回失敗すれば「ネバー」が一つ増え、中盤ではネバネバネバネバネバネバネバネバネバネバネバーマインド、といった具合。最終的にはネバーは30近く、カウントは110台まで到達。厭々やっているのが見え見えな男二人、粛々と続ける女一人、指揮者も女。男二人は最後には自棄になり「どんなときも」を歌い叫びながらぐるぐる回るが、競技は続く。反抗に疲れた男らも結局は世の中の仕組みは変わらぬと諦め、元の鞘。
    第二部はゲスト(この日は地蔵中毒・大谷皿屋敷氏)に5ラウンドの質問コーナー、という名の試験を実施。1ラウンドごとに3つの質問だがこれが挑発的で、例えば「中学生が茶髪、あり?なし?」、「あり」と答えると、質問読み役の女性は「ネバーマインド」、つまり不正解だと告げる。正解だと拍手をする。正解だからどうだ、不正解だからどうだという批評以前に、正解をしなければそのラウンドの最初の質問に戻るというシステム。自論に拘っていると次に行けずお客をいら立たせてしまう、という狭間に立たされ、ゲストは客席を見る。場の潤滑油として男性進行役がうまく立ち回るが、5ラウンド最後の問題は、某ラジオ局を権力の手先と歌うタイマーズの生放送画像で、これを認める回答を「ネバーマインド」と女性進行役は拒否し、ゲストは切れる。
    第一部も、第二部も、面従腹背と反抗の要素が共通のモチーフ。第三部もうるさい指揮者に対し、演奏者が「どう反抗してやろうか」と考え小さな抵抗をやり始めるのが面白く、下手側にミキサー二台で陣取るエフェクト担当もドラム音を入れたりと噛んでみたり。やがて指揮者が自分もトチリをやらかして突っ込まれ、演奏を終えると退散。すると、「本当はこれがやりたかった」とばかり、ギターがエフェクターをオンにしじゃら~んと鳴らす。エフェクト担当の女性がベースを持って立ち、ニルヴァーナのアノ曲がアコーデオンとサックス、低い女性ヴォーカル(先の指揮者)という構成でなかなかいける。反抗的態度からの移行でパンク=異議申し立てと連想させ、微妙にパロディ色も滲ませるが、音楽センスに裏打ちされた「笑い」は強し。
    演奏された曲の収録アルバムのタイトルが「NEVER MIND」だそうである。

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    2019/01/05 19:18

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