真夜中の弥次さん喜多さん 公演情報 KUDAN Project「真夜中の弥次さん喜多さん」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    鑑賞日2018/12/15 (土)

    東海道中膝栗毛モチーフの弥次さん喜多さんが、増水で道中の渡河を阻まれ逗留中… その雨中の夜半に起こった不思議な出来事… いや、起こらない出来事と言うべきか。

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    ネタバレBOX

    【続き】

    ​まるでスイッチが入るが如く、威勢良くドンと床を踏み鳴らす行為をキッカケに…今で言うタイムリープを繰り返し、話が先に進まない。

    雨は降りだし、物語はフリダシ、様々な言葉遊びで「意味深」さを纏いつつ、同じ行為の意味合いが徐々に変わって見えてくる。

    天野天街作品では「繰り返し」は定番であるが、…よりコミカルな風合いから展開していくそれは、ギャグの空気から…何やら次第に様相を変え、他愛ない会話が… 虚と実、現と幻、生と死、あの世とこの世… 交わらざるべき二極を綯い交ぜにしていく… そして、無の恐怖を掻き立てつつ… 遂には旅立った二人が… 戸がパタンと倒れるとともに、まるでマジックの様に虚空に搔き消える… 我々はいったい何を観ていたのか… そんな観後感に相応しい幕引きでした。

    こんな漫画的な結末を舞台で実現してくれる仕掛けがオツでしたね。

    映像プロジェクションの演出と、昔さながらの大道具・小道具による手品のような演出の融合も、観客の意識を不条理空間に引き摺り込む効果が極めて大でした、呑まれました、ほんと。手練れの役者の演技だけでも惹き込むものがあるのに、…あらゆる演出手段を惜しまない… 初演から17年経って今なお再演が続くというのも頷けます、さすが。

    一つ…一番印象に残ったことを書き残す。

    同じ行為の繰り返しの中で、うどんの「どんぶり」が現実に無いケースと在るケースがあって、…そこの演技から伝わるニュアンスが前後で変化したことにゾッとした。色んなところで虚実の曖昧さを匂わせていた作品でしたが、ここで…ここで実体験として遂に実感した。

    自分の目に見えるものは…果たして本当に現実のモノなのか、…自分に見えない(感じ取れない)ものは… 本当に無いモノと切り捨て得るのか…。

    自分に対する懐疑が実感で迫ってきて、自分の感覚…自分の認識を鵜呑みにすることの怖さを垣間見た気がしました。ちょっと怖かったよ。

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    2019/01/03 20:02

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