満足度★★★★★
鑑賞日2018/06/10 (日) 19:30
紅組は初演に近いキャストとなっている。
初演に近いキャストと言いつつ主要な役のひとつである国原大吾役が変更になっていて、初演キャストへの当て書きであろうと思われた勢いのあるキャラクターを花組芝居の美斉津恵友さんが端正さを残しつつ生き生きと演じて魅力的だった。
大森さんの仇吉と美斉津さんの大吾の組み合わせは初演に劣らぬ似合いの組み合わせで、2人のやり取りが切ない愛おしく胸に迫った。
一方墨組は、紅組と同じ脚本なのになるほどこうなるのか、とワクワクしながら拝見した。
仇吉はあやめ十八番の金子さんで、中盤までは紅組と比べて抑え気味の印象だったが、大吾の傘を手にしたとき、花が開くように表情がほころぶ様子が美しかった。
墨組の国原大吾は村上誠基さんで、明るさや勢いに加えて包み込むような大きさがあり、薄幸な少女に読み書きと数を教え、名前と愛情を与える慈しみに満ちた表情と凛と伸ばした背筋に惚れ惚れした。
旧友でありライバルでもある日色大輔と羅 義天(ルオ イーティェン)を、花組芝居の小林大介さんと吉川純広さんが演じた。
紅組の大輔とルオが印象的だっただけに、どうなるのかと思っていたが、やや貫禄ある色悪めいた小林さんとほっそりと美しい吉川さんの組み合わせは紅組とはまた異なる魅力があって目を奪われた。ルオの配下にミヤタユーヤさんを配し、エレガントで麗しい中国人主従となっていた。
ストーリーの面白さとスタイリッシュな演出に加えて、キャストがそれぞれ美しく役にハマって魅力的だった。
それぞれのキャスト、ひとつ1つのセリフや場面に見どころがあり、繰り返し観ても飽きることはない気がした。