満足度★★★★
12月18日午後、新宿眼科画廊地下で上演された、みどり人 #18公演『happiest』を観た。これは、前回の公演を観て気になる劇団だったのと、今月上旬池袋で観た朗読ライブ『ショパンの馬鹿』の初演の演出が、みどり人主宰さいじょうゆきであったことを偶然知ったからである。
登場人物は、交通誘導員(警備員)で舞台好きな独身中年の丸茂照美、同じアパートで丸茂の隣室の住人でFTMである表駆流、丸茂がファンである劇団の面々。それぞれが孤独の中でささやかな幸せを見つけて頑張って生きている生き様を、90分の中で描いている。その中心となる存在が、丸茂であった。
セットや客席の配置など、新宿眼科画廊地下の狭い空間を上手く生かした演出の加え、登場人物の幸福感と孤独感をしみじみと演じきる役者達の存在感が秀逸。特に、丸茂役そぎたにそぎ助は独特の雰囲気を持っていたし、ベテラン辻川幸代の存在も大きかった。小劇場界という狭い世界の中ではあるけれど華やかに見える役者の孤独感、その演劇にささやかな幸せを見つけていた丸茂。いやぁ、演出と役者の演技がしみじみと融合し、大きく心を動かされた訳ではないのにラストでジワッと目頭が熱くなる。くも膜下出血で急死した丸茂に思いをはせる劇団員たちや駆流の存在は、死んでも実は孤独ではなかった丸茂の幸せな一面を垣間見るようであった。
作・演出さいじょうゆきの力が物を言った作品である。
2019/01/04 22:02
「ショパンの馬鹿」の朗読ライブがあったとは知りませんでした。
今後ともよろしくお願いいたします!