愛犬ポリーの死、そして家族の話 公演情報 月刊「根本宗子」「愛犬ポリーの死、そして家族の話」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    ■約125分■
    一筋縄ではいかない女心、ビミョーすぎて名づけようのない人間心理を描いた、なんともねもしゅーらしい作品。今作は、そのねじれた心理のねじれっぷりがこれまで以上に激しく、そのねじれっぷりを描くために脚本演出両面でいろんなチャレンジが為されているが、それらが実を結ばないまま終わってしまった印象。きたるべき傑作に向けた習作と捉えるべきか?
    …というわけで評価は★★★が妥当かと思うが、急遽振られた難役を代役として見事に演じ抜いた藤松祥子の頑張りに免じて、★★★★とします。

    ネタバレBOX

    両親がいなくなり、飼い犬も死んで、四人姉妹だけになってしまった家族の話。長女次女三女と大なり小なり難を抱えるそれぞれの夫との関係、そして、22歳なのに容姿口調とも幼女のような唯一未婚の引きこもりの四女と年輩売れっ子作家の関係が描かれる。
    四女・花がもともと愛読者でツイッターを通じて知り合いになるこの既婚の作家は、世俗的欲求を超克した仙人さながらのたたずまい、話しぶりの裏に中年の淫欲を隠し持つ曲者。言葉巧みに取り入って花の処女を奪い体の関係を結ぶのみならず、花に内緒で片足の悪い三女とも契り、ベッドでの行為によって他方の足まで傷つけ三女を車椅子生活に追い込んでしまう。さらに、娘の存在を隠していたことも発覚し、作家を「お父さんのように慕っていた」花は何よりもこの事実に傷つき、一度は関係を解消。なのに、またすぐ“関係の再開”を求めるのはどういった心理によるものなのか?? この点がセリフとしてもっと的確に表現されていれば、本作の完成度は増したはず。100パー分からせる必要はないけれど、せめて85パーくらいは分からせてくれないと、客はモヤモヤした気分のまま劇場を去ることになる。さまざまな脚本演出上の工夫も、くだんのセリフがうまく表現されてさえいれば、より効果を発揮したと思うのだが…。

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    2018/12/31 16:06

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