スカイライト 公演情報 新国立劇場「スカイライト」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    デヴィッド・ヘアなる作家の作品は初めて。わざわざ翻訳・上演するだけの秀作。映画も撮ったり脚本提供している作家という事で、「それも見てみたい」、そう思わせる舞台でもあった。
    演技の質が三者異なり、息子以外の二人(蒼井と浅野)の長いやり取りが最初なかなか入って来なかったが、後半部分でカバーできる内容だったかと思う。
    二人の関係がよくよく見ないと理解できない特殊な人間関係が狙われたのなら、解りづらいのが正解だが、よくある男女の過ちの関係と読める台詞もあったりするから、「攻め」のタイプの男役の方が判りづらくしていたかもだ。「俺達は特別」であり相手も自分を愛していると確信し、「何ら恥じる所はない」と言い切る男より、躊躇いつつもそう口にするのが、関係説明としては判りやすい。たとえ女が本心(男を愛している事)を伝えるのであるにしてもだ。
    ただしこのドラマでは、その焦点が愛の真偽にではなく、他にある事が明確に伝えられる。他者との関係(即ち社会)の捉え方、そこからどの道を選択するかという「行き方」の問題を一人の女性を通して示し、そこには侮れない切実で本質的な何かが存在する事を、男の舌鋒を潜らせる事で仄かに、しっかりと浮かび上がらせている。男の必死の非難の形をとった説得は、資本主義社会の「常識(良識?)」であり、同時に彼女が寄り添おうとする社会の周辺の人々の正義を無にするもの。恐らく作者は男に執拗に食い下がらせる事でその事を可視化しようとしたに違いない。
    小川新芸術監督のまずは手堅い仕事始めという感じかな。




    0

    2018/12/22 23:55

    0

    0

このページのQRコードです。

拡大