逢いにいくの、雨だけど 公演情報 iaku「逢いにいくの、雨だけど」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    115分。

    ネタバレBOX

    1991年
    小出舞子(橋爪未萌里)…悠太郎の亡妻の妹。亡妻と悠太郎の子・君子の母代わりとして二十代を捧げ、事故後も面倒を看る。事故後悠太郎へ告白するも拒否されてしまう。
    悠太郎(近藤フク)…妻死亡後、舞子と君子の仲に入れず、距離を感じたまま生き、父としての存在意義に疑問を感じる。事故後職場近くのアパートにて独り暮らしをする。
    秀典(猪俣三四郎)…潤の父。事故にかこつけて和子と悠太郎の仲のストレスをぶちまける。事故で潤の商品価値が下がったという認識で和子とも距離ができ離婚した。
    和子(川村紗也)…潤の母。悠太郎とは大学からの親友で二人っきりで会うこともしばしばだが、恋愛感情はない。単純に加害者の君子を疎んでる。
    2018年
    君子(異儀田夏葉)…悠太郎の子。潤の失明の加害者。絵画教室キャンプでの事故後も絵を描き続け焼肉バイトしつつも絵本作家として新人賞を受賞。受賞作のキャラは当時の潤の描いたキャラを無意識的に使用したものだった。
    智(納葉)…君子の後輩。父との距離があった君子の居場所として自分の家の部屋を貸すなど、君子を支えた縁の下の力持ち。性格は明るい。
    潤(尾方宣久)…君子と同じ絵画教室に通ってた。君子とガラスの筆をとりあってそのはずみで失明した。本人は君子を恨むでもなく、不幸とも思わず、母・和子と暮らしているのが良いと思っている。自販機の営業職。
    風見(松本亮)…高校の野球部時代のノックでイレギュラーしたボールが目にあたり失明した。片眼義眼が障害認定されていないため国に働きかける活動に参加。潤が君子に穏やかに接しているのを見てヤキモキする。妻子持ち。

    客席からみると円形な階段が舞台。序盤、階段のためか役者の演技が遠いななんて思ってたけど、中盤から強烈に引き込まれた。面白かった。
    1991年シーンは親同士の子を想う気持ちとそれは全く別の感情が入り混じって加害者被害者って二元的な話にならず苦悩し乖離していくサマが描かれる。特に男の方は(他のiaku作品でもそうかもしれない)どこか一本調子になれない、女から見たら煮え切らない感のある様子で、なんか親近感のようなモノを感じてしまう。女性はガンガン前に進むといったテイでそんなトコも楽しめた。
    2018年シーンは当事者の二人と二人の関係者を交えた4者の会話となるが、当の二人の間に恨みつらみというネガティブ空気は薄い。ここらへんの1991年との違いも面白い。客としては失明の経緯を知っているし、これは二人も知っているし、結果しか見てない親とは明確に違う。それに親と違ってそれ以外のネガティブな感情が二人の間になかったからかななんて思う。事故も一回も顔を合わせず30年ぶりに合った二人は、10歳の感覚のままの純な関係でいられたのかななんて。
    そう考えると、1991年でも2018年でも人間関係における「距離をとる」という行為は、生きていく上で必要なんだなって思う。逆にずっとそばにいてくれる人(そばにいても大丈夫な人)がいるってことは不幸を遠ざけるんだななんて思った。

    再終盤で潤が和子に、君子にあったことを報告し、(俺のこと)不幸だと思ってんのかな、って言った際の和子はどんな思いだったろうか。単純に和子を想っての発言だとしたら、(君子を恨まず自分の人生を呪わない)潤はどんだけ人間できてるんだと頭が下がる思いだった(頭が上がらない?)。

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    2018/12/01 22:35

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