人造カノジョ~あるいは近未来のフランケンシュタイン~ 公演情報 劇団鋼鉄村松「人造カノジョ~あるいは近未来のフランケンシュタイン~」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

     喜劇としての面白さは無論だが、未来予測としても、生命と技術の相関関係にしても随分深い所まで楽しみながら考えさせてくれる秀作。

    ネタバレBOX

     量子コンピューターやシンギュラリティー、ips細胞や3次元プリンターなどが組み合わされて出現する世界での、恋、寿命、そして倫理を通して見えてくるもの・こと とは?
     無論、メアリー・シェリーの傑作「フランケンシュタイン」は下敷になっている。創られるのはRURやオリジナルフランケンシュタインに近い存在だが、頭脳部分はAIが埋め込まれているから、コンセプトとしてはサイボーグやヒューマノイドに近くなろうか。因みにサイボーグとは、 M.クラインズが 20世紀中ごろに使い始めたサイバネティック・オーガニズムの短縮形で機械部分を意識的に働かせなくとも,人体と一体化して動作する機械と生体との結合体のことだ。これに対しヒューマノイドとは、ヒト型の存在を意味するが明確な定義はない。この用語の由来がhumanとidoの合成語だからである。直訳すれば“人間のようなもの”ということになろう。何れにせよ様々な概念が夢に溶け再構成された存在なので余りコンセプトに拘る必要は無さそうだ。
     一方、今作の面白さは、こういったSF科学的知識を前提にしないと楽しみ切れない部分があるのも事実だろう。例えばシンギュラリティーというコンセプトが分かっていないと、ソクラテスがやっていることや、ひまわりとの関係、博士と研究者たちの優秀性等も理解できないとは思う。
     まあ、メアリー・シェリーの書いた原作を読み、既に我々の生活を取り巻き浸透すらしているIT(パソコン及び周辺機器の発達等とロボット工学、ips細胞・分子生物学などについての常識・SF的理解、そして宇宙・深海へのチャレンジなど科学一般)に普段からちょっと目を配っているだけで充分楽しめる内容だ。

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    2018/11/29 14:30

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