満足度★★★
鑑賞日2018/11/21 (水) 16:30
新派の舞台を演舞場で観るのは初めてかもしれない。
舞台全体を通して、「うわあ、新派だ」的な観劇が半端ない。
「犬神家の一族」のような推理劇は、ともするとラストの謎解きが冗長になって、どうも締まりのない舞台になりかねない。
映像であれば、謎解き場面でも、殺害シーンを挿入するとか、登場人物の表情をズームにするとか、変化のつけようもある。
また、明智小五郎のようなスタイルであれば、アクションや派手な演出でアクセントをつけることも可能だ。
そこで、この舞台は、謎解き自体を全て打っ棄って、あくまでも人間の情念を描くことに徹したのは潔い。(前半の幕間直前に犯人が判るようにしておいて、そこからは観客にストーリーを追うことに専念させている)
喜多村緑郎の金田一耕助も、舞台の進行にうまく組み込まれて、嫌味が全くない。
ただし、物語りのキーとなる野々宮珠代役の川合宥希の印象が薄く、何のために存在している役なのか、曖昧になったことがおしいかな。