美しい村 公演情報 タテヨコ企画「美しい村」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★

    残念な出来でした。物語の方向性がバラバラで、描きたいことが判らないし、それを超えた不条理劇にもなっていない。何かごちゃごちゃというか。

    小さな村で、花見に集まった村民が青酸カリが混入されたおはぎを食べて14人が被害にうち5人が死んで、、、
    外部の人間が、毒物を混入させることは不可能。
    容疑者の東原康子(旧地主家)は、おはぎを作ることを提案したことから一旦、容疑を被るが否認。
    村人たちの幾つもの証言から、毒物混入の機会がないことが明らかになる。
    しかし一転、罪を認めるが、村人たちは不思議に思いながらも、犯人が判ったことで安堵する。しかし、再度、康子は否認をし始め、、、

    この物語のポイントは、康子がなぜ自白をしたのに、再度否認に転じたのか、そう思っていた。おそらく、そこには、村社会の暗部や怨念、因習や旧階級制度、そうした部分が描かれるのだろうと。しかし、否認に転じた理由は、物語途中で弁護士によって「拷問に近い取り調べがあったのだろう」ということで軽くスルー。

    話は康子を犯人にするための、検事たちの暗躍と、それに躍らされる村人たちの物語へと転換していく。(ネタバレへ)

    フライヤーよりも、ずっと可憐な岩倉真彩(ヒロインの必須条件)さんと、舞台装置の巧みさ(養蜂箱の使い方や畳台、後方の障子みたいな吊り物ーこれが村社会の隠れた耳目を表現するーなど)などは評価できるのだけれど。

    ネタバレBOX

    正義感は強く、警察の悪を朗々と説くが、全く役に立たない弁護士。
    (無罪を主張するための物証や証言は、みな村人が自主的に申し出たもので、彼が集めたものではない)、
    冒頭の惨劇に際し、被害にあった村人たちを労わりながら、真摯に事件解決に臨む刑事。しかしながら、彼は後半、元特高だと肩をいからしながら、恐喝や恫喝で村人たちに証言の歪曲を迫るようになる。(何か違うぞ!!!)

    有罪には、機会と動機あること、そして物証と言う。明らかに、無罪を勝ち取るには機会がないこと、物証(青酸カリには赤い着色があった)だと思うのだけれど、なぜ動機がないことを証明するのに、康子と死んだ不倫相手との会った時間が問題になるのかが判らない。会ったとしても、別れ話が決裂したかもしれないし。
    まあ、不倫相手を殺そうとしても、無差別毒殺はするかなあ。食べるとは限らないし、
    確実に殺人なのだから、警察が介入してくればいろいろ面倒だろうし。

    という風に、どうもしっくりこない。

    結局、被疑者死亡につき不起訴ということに収まり、ラストに真犯人(だろうね)が主人公の前で自白をする。このあたりの伏線はちゃんとありはするけれど、犯人の怨念の深さ、つまり復讐をさせる衝動が、全く描かれていない。真犯人の技術的な背景(薬剤知識や取扱技術)はなるほどとは思わせるけれども、何とも共感はもちろん、恐ろしさもない。はあ?という感じは拭えない。

    東原の叔母さんも、村人との関係で、もう少し強力な毒が欲しいかな。
    こう言いました、過去にこんなこと(子供を病院に行かせずに死なせた)がありました、では毒は伝わりませんよ。

    どうせなら、東原家、村人、警察の三つ巴の憎悪劇みたいな感じにしたらどうでしょう。弁護士さんも1枚咬んで。

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    2018/10/25 13:33

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