満足度★★★★★
明日(24日)が千秋楽とは。。地味なタイトルから想像しなかった人間ドラマが詰まっていた。戦争は背景どころか主題そのものだが、「戦争」という単語は殆んど口にされない。「先の大戦」のステロタイプなイメージに依存せず、戦争をしている近未来の日本を現在と地続きの時空に描き出す事が出来ていた。瀬戸山氏の作は過去ミナモザで目にしたが、今作は出色である。ドラマの舞台を「今、ここ」、即ち「わたし」の日常に今までになく近寄せた事で戦争に肉薄し、普段考えも及ばない「戦争する日本」の断面が描き出されていた。
特筆は、「戦場」を潜った女性の微妙な心理を静かに熱演した林田麻里。
杉山至の美術は勿論の事、仮想の空間を信じさせるスズナリという小屋の持つ力にも心底感じ入った。