満足度★★★★★
これほど主人公に感情移入した芝居には暫く遭遇しなかった。このテーマ・素材で川村毅は1980年代にその名も「フリークス」と題する戯曲を執筆・上演、今回は同テーマの「その後の今」の捉え直しという。タイトルのオルガとは、前世紀に実在した人物だが芝居は一代記というより、2018年現在の「私」にオルガの人生が重なり、今の「フリークス」たち=サーカス団を想定した場末の小屋(地下小劇場のような)を舞台に基本は物語が進む。
ティーファクトリーは割と最近一度だけ開演に遅れて中途半端に観劇したが、舞台全体の暗い美しさだけは印象にとどまった。今回はその印象を強めたと共に、演劇とは溢れ出るものをそこに注ぎ込むものでありたい・・なんて事を思わせた力強い事例。芸、技にではなく、主人公その人に拍手を送る自分がいた。
強いて言えば、オルガを演じた渡辺真起子の全く気取らない「徹する演技」には、心酔した。