The Dark City 公演情報 温泉ドラゴン「The Dark City」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    国民のほとんどが新しい体制の中で新しい幸せが訪れると信じた幻のような時期があった。終戦直後の一時期。民主主義が新しいモラルとして国民の太陽だった。このドラマの実話・本庄事件は新劇団名優総出演で「ペン偽らず・暴力の街」と言う映画になった。同時期のもっとやさしい例では「青い山脈」の大ヒット。あの主題歌を、ほんの一部の国民を覗いて,みなが合唱して幸せを感じられたのだ。だが、それは幻で、世間はそれほど単純でなく、誰もが生きるモラルを失っている70年後の今の現実だ。この横文字のタイトルの小劇場のドラマは、70年前の地方都市の街の支配者と新聞社支局との攻防の中でジャーナリズムが民主主義政治成立させる基本要素だと言う事を、過去の事件と過疎となったその町を交差させながら描いていく。
    昔、昭和20年代から30年代にはよく新劇団が上演したプロテスト劇の味わいだが、その後、この路線はすっかり観客に飽きられて、わすれられて久しい。この舞台を作っている人たちは、最年長の大久保鷹ですら、その実感はないだろう。ドラマの空気が懐メロ風になってしまうのも時代の流れだ。
    だが、それは無意味と言う事ではない。歴史の中で土地に沁み込んだ記憶は、どこかで、今を生きる人に影響を与えることは必ずある。劇場はいつ閉館するかと危ぶまれている旧三期会のブレヒトの芝居小屋。何十年ぶりかで、ここで芝居を見たが、古びているが手入れはされていて、機能している。芝居と共にそのことに心を打たれた。

    0

    2018/10/20 00:29

    0

    0

このページのQRコードです。

拡大