セイラム 公演情報 sortie「セイラム」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    鑑賞日2018/10/16 (火)

    16日19時開演の回(85分)を拝見。
    流石に2回目の観劇だけあって、わかったフリは嫌いなんでしないが、わかったような気にはさせてもらった。
    自分の読書経験からすると、中国明代の怪異短編集『剪灯新話(せんとうしんわ)』のエピソードが現代に蘇ったか如き出来事を、傍観者の一人として目撃させられた心持ちで会場を後にした。

    ネタバレBOX

    妻に先立たれたばかりの、文豪・清田洞爺の自宅。洞爺と阿見(後の田瓶図書館・初代館長)とが盃を重ねるうち、いつしか掴み合いの喧嘩に。すると、何者かが玄関の戸を叩く音。出てみると、そこに立っていたのは、なんと亡くなったはずの洞爺の妻。しかし、両人とも、ごく自然に彼女を迎い入れ、3人で夜を徹しての歓談となった…。

    歳月を経て、昭和42年のとある日。魔女に追われているとの謎のコトバを残して、阿比留という若い女性が、和嶋ハルの目の前で、文字通り、姿を消した。
    ハルは、自身は阿比留の身辺を、そして、中学教員時代の教え子である平田アイコには、読書サークル「あやめの会」のメンバーの中にいるらしい、魔女の正体を探らせることにした。
    すると、阿比留の失踪には、洞爺が生前、大切にしていたらしい「(亡き妻から授かった?)銀の鍵」が関わっていることが判明し…。

    以上の経緯を背景に、平田アイコや「あやめの会」のメンバー達の会話や独白で舞台は進行、魔女が誰かも明らかになるのですが、そんなことなぞお構いなく、清田洞爺記念館開設の話がトントン拍子に進んでいき…というところで、ストーリーは唐突に終了を宣言されます。

    2度目の観劇で、私自身は、謎解きとか「銀の鍵」とかにはあまりこだわらず、8人の女優さん達のやり取りを味わうことに専念させてもらいましたが…
    日常の中に潜む怪異、その怪異すらも忘却の彼方に押し流してしまう時間の経過、といった、その乾いた空気感に、今回もまた当てられてしまったようです。

    最後に配役について記しておきます。

    平田アイコ(作家志望の家事手伝い。「草苅事件」の平田は彼女の息子?)
    …沈ゆうこ(しむ・ゆうこ)さん(淡々と進行に徹する、とっぽい狂言回し役)

    名倉ヤギコ(夫の病気療養のため、東京から転居…は口実で、実は「銀の鍵」の行方を追ってきた魔女)
    …中村真沙海さん(セーラームーンのような長い髪と妖艶な雰囲気が「あやかし」そのものな強烈な印象)

    摩周ウツボ(地場スーパーを展開する、摩周流通の令嬢。熱心な清田洞爺ファン)
    …星秀美さん(怪異なぞ入る余地もない「日常社会」を象徴する人物を好演)

    阿見エミリ(田瓶図書館・初代館長の、歳の離れた後妻)
    …梢栄さん(口説や所作に、時折、「田瓶市」の生みの親である某主宰氏を想起)

    蛇穴(さらぎ)タツ(夫が市役所職員の主婦。清田洞爺の霊に憑依される)
    …雁瀬有子(かりせ・ゆうこ)さん

    矢後ユスリ(市会議員の妻。「宅の主人がぁ!」を連呼する、応援演説風口調には、怪異の入り込む余地なし)
    …つついきえさん(素の大山のぶ代さんばりの押しの強いキャラを熱演)

    和嶋ハル(学習塾経営。平田アイコの中学時代の恩師。阿見エミリの戦死した兄と知り合い)
    …宍戸香那恵さん

    鈴木ナオコ(主婦。小学生の息子が湖で水死して以降、大手家電メーカー勤務の夫とは没交渉?)
    …菊地奈緒さん(かろうじて抑えていた感情の爆発を熱演)

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    2018/10/17 00:40

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