The Dark City 公演情報 温泉ドラゴン「The Dark City」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    鑑賞日2018/10/16 (火) 14:00

    座席1階

    価格4,000円

    終戦直後の埼玉県本庄町(現・本庄市)。銘仙の闇取引で暴力団が牛耳り、警察も検察もその仲間という小さな町。そんな暴力の街はおかしいと書いた朝日新聞本庄通信部の記者に対する元暴力団組員の町議による殴打事件をきっかけに、新聞がキャンペーンを張り、市民が立ち上がる。本庄事件と呼ばれるこの経緯を題材に、社会派劇作家シライケイタが今に暮らす市民に訴える。「本当に、生きているか。立ち上がっているか」と。
    唐組で暮らした怪優・大久保鷹がひときわ、光を放つ。舞台が現代と70年前を行き来する構成で、出演俳優は一人何役もこなすのだが、70年後の今に生きる老人を演じる大久保が、この70年前の事件の意味をストレートに客席に問い掛けるさまは、圧巻だ。まさにぴったりの配役であると言える。
    フェイクニュースなどが横行し、ジャーナリズムに背を向ける人が目立つ今。しかし、ジャーナリズムとは民主主義を支える基盤であり、書く自由はすなわち、私たちが生きる自由だ。これが政権や暴力団で切り取られていくとすれば、それは、生きる自由を制限された戦前・戦中に戻ることになる。
    新聞は書いているのか。市民はそれを手に立ち上がっているのか。
    民主主義であるはずのわが国で、独裁政権のようなやりたい放題が通る今。声を上げることの重要性を、見た人たちに強く訴えかける。70年前の市民の力を今、思い起こしたい。

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    2018/10/16 18:41

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