満足度★★★★
ことのは2度目の観劇、待ちかねた日であったが。。
初めて訪れたシアターモリエールは、新宿駅近いビルの二階にあって200席程か、天井はそこそこ高く客席の傾斜は緩やか。この傾斜の客席は個人的に「ショー」を眺める完全受け身な構えにさせられる気がするのだが、軽演劇の似合いそうな小綺麗な劇場だ。
できれば開演前に席に着き、雰囲気を味わいたかったが、味わうどころか大幅に遅れた。
従って芝居が得心の行くものでなかったとしても理由を説明できない。言えるとすれば以前読んだ戯曲の印象との違いについて、だろうか。
戯曲の印象は、あまりに知られた「銀河鉄道の夜」の原作を対象化して距離を取りつつ、原作の物語をもう一度追いかける、「今」という時に捉え直すものだった気がする。対象化するという事はメタ構造を内包することにもなる。(きちんと覚えていないので勘違いかもだが。)
「見よ、飛行機の..」のストレートな作りで魅せたことのはが、このやや変則な戯曲をどう仕上げるのか、勝手に胸を脹らませた自分としては、今回のステージはあまりに素直。いつか「メタ」的表現を垣間見せるかと待ったが最後まで、どこまでも疑いなく「そのまま」な演技、無防備とも言える若者の演技。
歌ありの音楽劇で、踊り専門のダンサー・グループもいるが、イメージの拡がりを助けるより、比較的ひねりのない曲調と踊りが「素直」過ぎて色調を限定してしまい、世界の拡がりが感じられなかったのが不服。敢えて音楽劇を選ぶなら歌が舞台をさらって行くくらいでなければ。。とは高望みか。
オーディションで集められた、一、二名を除き若い役者たちの技量には合った舞台と、言ってしまうのも安易に思う。
当日配布の紙によれば、酒井女史演出のことのはは以後団員を募集し劇団化するという。若い出演者との仕事が、「育てる」関心を刺激し、継続性のある舞台作りの形が築かれるなら、意義の大きい公演であったと言えようか。