満足度★★★★
鑑賞日2018/10/07 (日) 14:00
座席1階4列
ブラッドベリの有名SF小説が原作、
トリュフォーの映画版も有名で大好きな1本です。
これを、長塚さん脚本、白井さん演出とくれば観ないわけにはいきません。
まずは本でいっぱいの本棚が舞台三面、天井まで埋め尽くされている舞台に圧倒される。
真っ白な大量の背表紙が美しく、また、その白面に書籍の背表紙の映像が投影され、
まるで一瞬にして本に命が宿ったよう。
そして、「白い本」はそこに投映される映像によって燃やされる。
ヒロイン二役と機械猟犬、鹿を美波さんが、
ファイアーマン隊長、ブックマンの長を吹越満さんが、
それぞれ対極をなす二役を演じ、その表現が素晴らしかった。
壁面大型テレビと地デジの視聴者参加型双方向通信、
スマートフォン、電子化され減っていく書籍、
経済優先の大統領の元で減っていく文化への援助、
62年前に書かれた小説の世界が結構実現していて驚く。
某国の公文書・議事録・日報の廃棄や公式記録の軽視は無関係か?
しかし、ブラッドベリも予想できなかったことは、
「人は、たとえ国家に規制されなくとも、自ら本を捨てはじめている」
ということでしょうか・・・
それでも、人はすべてを捨てず、本についてもいいところどりをして
貪欲に今を生きているという現実。
燃えている本を模したパンフレットも粋です。