かのような私 公演情報 文学座「かのような私」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    八十年にわたる日本戦後史のドラマである。東条が絞首刑となった日に生まれた男の生涯が6場で描かれる。休憩あっての2時間半。
    ほぼ全場、空気に覚えのある事件を取り扱っていて(未来の一場も何やらお見通しになった感じであった(笑))、こちらも歳をとったとつくずく思う。東条処刑から始まるから当然これは戦後民主主義で日本の一家がどうなったかと言う話だ。自由、平等のシンボルが次第に影が薄くなって、天皇制に象徴される日本の世間に呑みこまれていく、と言うのはよくある話で新鮮味はないが、さすがこの作者だけあって、また、文学座の役者だけあって、破たんもなく面白く見られた。効果音が各時代の飛行機の音、と言うのは新趣向で、こういう細かいところはさすが大劇団と思う。
    だが、全体としては、この作者で文学座がやるなら、「女の一生」の男版、戦後版みたいなものでなく、「治天の君」とは言わないが、日本の戦後と言うなら、せめて、「60Sエレジー」くらいには素材もテーマも絞ってくれないと観客は満足しない。文学座がこの作者と組む機会もそう多くはないだろう。日本の新劇のメンツにかけて、もう少しどんな芝居が今の新劇にもとめられているか、考えてほしいところだ。劇団にも鋭い有能な製作者が必要だ。

    0

    2018/09/21 11:48

    0

    0

このページのQRコードです。

拡大