ショートストーリーズvol.8 公演情報 T1project「ショートストーリーズvol.8」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

     昨夜に続くT1プロジェクトショートストーリーズのD。傑作「サンライズシーチキン」のスピンオフ・アナザーヴァージョンである。

    ネタバレBOX

    「あなたが生きていたから」T1project short stories vol.8 D 2018.9.20 19時~劇小劇場
     サンライズシーチキンのスピンオフ第2弾。昨夜の中田ステーション7は、漫才コンビ、シーチキンの突っ込み、遼を中心に据えたスピンオフであったが、今夜はボケの榊が中心の第2弾だ。全4作の中でこのバージョンの占める位置は、C「サヨナラの踏切」とは逆ベクトルそしてB「中田ステーションセブン」とは表裏の関係になっている。まあ、BとDはそれぞれ「シーチキンサンライズ」のスピンオフ作品だから当然のことではあるものの、CとDのこの関係は、Dが新作だからこのように書かれた、と見るのはうがち過ぎだろうか? 何れにせよこれらの緊密な関係自体が別次元でのドラマトゥルギーを為しているのだ。
     さて、個別論に入ろう。今作「あなたが・・・」に於いて描かれるのはツッコミ遼の陽性・派手に対して、ボケ榊の陰性・地味な性格がこれでもか! と言われるほど強調される。無論、これは後半の展開への溜めとして機能してくる訳だが、その仕掛けが当初から読めても、実際に舞台化されたその爆発力の威力には圧倒される。無論、オープニングにも仕掛けがある。丁度詩が韻を踏むように「シーチキンサンライズ」冒頭と同じシチュエイションが用いられているのだ。強い雨、雷。落雷の光に浮き上がる女の姿。シーチキンを観ている観客には、この呼応も既視感と共に本編を思い出させる鍵になっている。
     先に挙げたCとの関係に於いては、Cが死のあちら側で忘れる、忘れられるという究極の存在論を展開しているのに対して、Dは、あくまで自死未遂後に生きる側に向かって当に全身全霊を賭しての生き様を描いている点で死を座標軸の交点とする逆ベクトルを形成して、作品相互の関係がまたドラマを構成しているのである。この辺りの重層化も実に楽しい。
     

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    2018/09/21 05:44

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