満足度★★★★★
休憩無しの2時間45分、最前列。
前場、九州のとある漁村のスナック。後場、中国との国際取引をも事業展開する水産会社応接室。とにかく中津留氏の作品。起きる事件の過去も含めた時代背景。人物描写。その因果関係が近未来の後場へ登場人物達の成長と共に引き継がれる。民藝・青年劇場に続き今回初めて作・演出の自集団での舞台拝見。小さな劇場ながら前場から後場へのセット転換には度肝を抜かれた。建込みはおろか床面まで音も無く変っている。南京大虐殺・弱小漁師が行わざるを得ない違法漁業・正義の為の裏切り・自殺・子供の頃のいじめ・嫡子と非嫡子差別・遺産相続・鯨と犬への民族による食文化の対立・さらにはカリバリズムからシェパードを連想する武闘派環境保護団体まで登場する。そして最後は男と女。息が切れる。基本的には淡々と演じる俳優陣の信頼できる迫力と集中力に引き込まれた。女性のお二人が秀逸。人間である以上、不条理を抱えながらも明日への希望を胸に今を生きる。その行状が「奇行遊戯」言い得て妙だ。私も終幕まで途切れることなく興味と好奇心に集中し続けた。カーテンコールの拍手は自然肩より上へ挙がりました。6月24日(日)於:上野ストアハウス千穐楽