満足度★★★★
ヘレンケラーを題材とした公演は3作目。前2作はせんがわ劇場で上演しており、この劇場より広い。本作におけるヘレンケラーの人物像なりは前作をも凌ぐ見事な造形であったが、芝居的にはこじんまりとした印象を受けた。
劇場の規模を比較して意味があるのか分からないが、少なくとも せんがわ劇場では素舞台に近い。あるのはテーブルと椅子が数脚。周りは暗幕で囲い、脚本・演出・演技で魅せる力作であった。本作は屋敷内を作り込み過ぎたようで、言葉はおろか自分が何者(人)かさえも認識できていない”子供=ヘレンケラー”の行動が舞台セットによって妨げられている。何気にテーブルの周りを回ったりしているが、”痛い”という感覚本能を持っていたか否か判然としないが、観客としては作為的な動きに見えてしまったのが勿体ないところ。
(上演時間2時間10分)