満足度★★★★
作・演出大西氏の知己に当る実在の人物(サッカー界では有名らしい)が話の題材で、しかも女性による一人芝居。全く予想できない舞台風景を確かめようと「楽園」へ赴いた。主人公(舞台には居ないそのサッカー選手)の生前のパートナーが、永田女史演ずる役。これは世に最もありふれたドラマのシチュエーションだ。だが私の知る(さほど知ってはいないが)TOKYOハンバーグは単なるお涙頂戴にしないはず、と、さして根拠があるとは言えない予測をしながら、見始めた。大西氏の芝居は「後から分かってくる」印象があるが今回も例に漏れず。ただ作りは非常にシンプル、ほぼ時間経過に従って話は進んでいたように思う。特筆は一人の人間の(有限の)命という「概念」に還元せず、「彼」の実在感を空間に止めようとした事。生きた時間こそ愛おしい。媒介者である彼女が、それに全力で臨んでいた。