「ムイカ」再び 公演情報 コンブリ団「「ムイカ」再び」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    鑑賞日2018/07/28 (土) 19:30

    作・演出のはしぐちしんは青春時代をここ広島で過ごしたのだそうだ。広島に対する思い入れも強い。
    車椅子で登場したはしぐちが前説から路面電車の駅を伝って広島の街を紹介しながらいつの間にか舞台が始まる。

    終演後のアフタートークのゲストはライターの大場久美子さん。東京の観客はいやですねえ、こう、ちょっと反り身になって、どんな芝居をみせてくれるんだいと、斜に構えた感じでと言うと、はしぐちさんは同意するでもなく、大人の反応。地方の観客はもっと純朴に見てくれるということらしい。
    だが、私には7月8月と目ぼしい芝居は大概が原爆がらみのお芝居で、まるで広島の観客はリトマス紙かと気が滅入るのであった。
    コンブリ団、ぜひまた広島に公演に来てほしいな。次は別の作品で。

    ネタバレBOX

    登場した役者たちが同じセリフを会社や電車の中という設定でエチュードのように演じ、外から眺めていた観客はスルリと芝居の中に 誘われる。(導入部の独創性)
    原爆で生き残ったおばあちゃんのベットの傍らに集まる家族たち、原爆の投下時に赤ん坊だった彼女の当時の家族たち。二役を同じ役者が演じる戦前と戦後の家族のやりとり。エチュードの台詞が実際の芝居の中にさり気なく挟みこまれる。(洒落た演出)
    時計の針のように動く扇形の舞台は、役者が手で押すとぐるりと回転する。ベットになったり、家族が佇む廊下になったり。時の流れと場所の移動を簡素な舞台で表現。(シンプルで効果的な舞台装置)
    戦前の広島には家族がそろって朝焼けの美しさに見とれるような静かな朝の風景があったのだろうか。そのせいで寝ていた赤ん坊以外の家族全員が原爆投下で亡くなってしまったのだが。(状況設定の巧みさと叙情性)
    その瞬間からも、時は一瞬も止まることなく現代へと続いている。舞台を観ている観客は、嫌でもその現実に向き合うことになるのだ。

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    2018/08/02 22:27

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