満足度★★★★★
鑑賞日2018/07/24 (火) 18:30
座席3階B列10番
素晴らしい、素晴らしい、素晴らしい。歌舞伎でいうところの色悪。
これは、今年、片岡仁左衛門の「絵本合法衢」並みの悪の美学。
フライヤーの印象、そのままだったですねえ。
タイトル通り3部構成なんですけれど、元は1部だけの話だったそうです。
そこに、マクガワンの生い立ちや行動原理の背景を観たいというリクエストがあって、2部3部ができたということらしいのですが、時系列ではあるものの、話は順に静謐になり、2部で元恋人(かな)、そして3部でボケ始めた母親との2人芝居が続きます。
1部だけ観るとマクガワンは悪の魅力あふれる強烈な個性の人物ですが、
2部、3部と、人物が矮小化されることなく、一貫した行動原理とそこに潜む生い立ちが明確化されていき、2時間、全くダレません。特に2部、3部の連結は、マクガワンが生み出した悲劇の背景の奥深さを丁寧に描き込み秀逸です。
途中休憩時間除いて、2時間5分の予定が1時間55分で終わりました。愛知、兵庫の公演を経ての東京ですので、かなり演技もこなれたのでしょうね。
松坂桃李のオーラは半端ないですよ。いや、これがテレビで見る松坂桃李かと。
声がうまく通っていてテレビとは全く違って聞こえますし、行動範囲の広さや仕草の細かさが舞台を支配している感じ。
「ペール・ギュント」の浦井健治にも、同じような印象を受けましたが、松坂桃李の方が上手ですね。役への入りきり方と、物語の消化度でも、すごいです。
あまり積極的に観る気がなったし、チケットも高価だったので、一番後ろの席で構わないと思っていましたが、これだったらもうちょっと前の席をがんばればよかった。
9月から新国立劇場の演劇部門芸術監督になる小川絵梨子。次回は「スカイライト」か楽しみだな。