顔!!! 公演情報 艶∞ポリス「顔!!!」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    人間、それも女性の内面を浮き彫りにしていくが、そのあぶり出す題材が「顔」という、外面の代表格を用いる発想がユニーク。
    さて、「顔」で思い出すのが、二枚目俳優・長谷川一夫(当時は林長二郎)が暴漢に襲われ、刃物で顔面を切りつけられ重傷を負った事件である。そしてそれをモチーフにした映画「貌切り KAOKIRI」である。心が豊かで美しければ、などという綺麗ごと建前など白々しいと言わんばかりの物語は、観応え十分であった。
    (上演時間1時間35分)

    ネタバレBOX

    セットは、芸能人のメイク室。客席側に向かって鏡があるというイメージ設定。下手側に更衣スペースがあり、いくつかの騒動(恋愛沙汰)で利用する。この狭いメイク室で美人女優、演技派女優、そして各女優のメイクを担当する職人が繰り広げる嫉妬・羨望などの不快感情が交錯する物語は面白い。また出羽恭子(井上晴賀サン)の顔(顎)ネタも挟み込む。さらにはアシスタントやマネージャーという脇役が女の別一面を観(魅)せてくる。


    梗概…美人女優の専属メイクは男、演技派女優のメイクは女。このメイク担当者の男と女は師弟または先輩後輩という縦社会の典型を表す。逆らい難い環境に我慢し、ようやく1人前になった主人公・小尾千恵子(岸本鮎佳サン)が、偶然にも同じ楽屋・メイク室で師・先輩と仕事をすることになるが…。
    男の身勝手と勘違い、女の媚と思わせ振り、その間にある溝は深く気味が悪い。かろうじて橋渡しをしているのが”仕事”という生活の糧という味気無いもの。

    さて、美人女優は”美人”というだけで何の努力もしない、一方、演技派女優は努力を欠かさないという定番設定である。そして美人女優に事件(ここで長谷川一夫事件を連想)が起きる。芸能関係者にありそうな思惑と人間関係、それを女性という視点から、笑いを纏いながら繊細、丁寧に切り取る面白さ。”コンプレックスのフィルターを通し、気まずく、切なく、恥ずかしい、人とも距離感を、何気ない会話からあぶり出す”という艶∞ポリスの真骨頂が観られた。

    本当に居そうな厚顔な女、そして男の図々しさ。役者は、その分かり易いキャラクターをしっかり立ち上げ面白可笑しく観せる。表層コメディであるが、手放しで楽しんでいては足許が…そんな怖さも垣間見られる秀作である。
    次回公演も楽しみにしております。

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    2018/07/21 16:03

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