満足度★★★★
恒例の夏芝居。炎暑の今年は一段と厳しい興業だが、若い時はそれがかえって嬉しかったりするものだ。外波山は随分頑張ってこの興業を定着させてきた。芝居の中身も、大胆な新進の演劇人への目配りもあり、今年はなんだろうかと、観客も期待してきた。その今年は泉鏡花。天守物語・夜叉が池篇と言うタイトルで、脚本が高取。鏡花の二大名作を寺山修司でつなぐという発想を篠井英介演出でやる。出演はこの公演にはよく付き合う松本紀保。まとまりそうで難しい座組みで、結局はどこも中途半端で半分ほどで飽きてくる。松本紀保だけはさすが高麗屋というところだが、それでまとめきれるという感じでもない。鏡花の世界そのものが少し時代からずれてきて寓話性が通じなくなってきているのかもしれない。そうなると、こういう季節ものの興業には難しいのではないか、と言う感じだ。