満足度★★★★
鑑賞日2018/07/10 (火) 18:30
20年にわたる、ロンドン古書店、マークス書店に勤めるフランク・ドエルとその周囲の人々と、ニューヨーク在住の作家ヘレン・ハーフとの20年に渡る往復書簡集。その舞台化。映画化もされている。映画化にさいしては、場面転換も必要だし、ただ書簡を読むというわけにはいかないので登場人物のセリフや動きも必要なので、映画台本があるのは当然として、舞台は脚本があるのだろうか。
舞台はマークス書店とヘレン・ハーフの自室の2つの空間が高低をつけて設けられており、マークス書店の社員以外の書簡については、それ以外の空間が使われる。(例えば、フランクの妻の書簡や、ヘレンの上の階に住む女優の書簡など)
書店内では会話をしたり送付物を開けるという演技があるものの、実質は書簡を書いたり、読み上げたり、独白したり、書簡の読み上げがそのままセリフとして成立しているのだと思う。
だから、脚本がなくても、舞台美術と舞台装置を練り上げてしまえば、あとはト書きがなくても、役者さんや演出家さんが芝居を付けて行けば、それで舞台が完成してしてしまうような感じがするのですが、どうなんでしょうか?誰かお分かりの方がいたら、脚本の有無を教えてください。
それともう1つ。この舞台を演る場合は、フランクやヘレンは、1つの舞台で複数の役者が演じるものなのでしょうか。今回、フランク役が4人、ヘレン役が3人で演じ分けています。
ヘレンはヘレンの自宅にいること、眼鏡や髪形といった記号があり、体型も皆さん近しいのですから、常にヘレンとして認識できます。むしろ、3人の女優さんが演じ分けることで、ともすれば書簡の読み上げとなって単調になりかねないところをうまく回避して、それぞれの女優さんの演技の変化を楽しむことができました。
問題は、フランクのほうで、書店には複数の男性がいますし、皆背広姿な上に、フランク役4人は、体格も髪形も違うので、入れ替わる度に誰がフランクかを認識しづらいというか、一々煩わしいというか。
フランク以外の男性たちも、ヘレンにお礼やロンドンへのお誘いの手紙を書いている(ということは、そのセリフがある)ので、フランクが書いた手紙なのかを判断するために頭を捻ってしまいます。セリフもタイプライターを打ちながらや手書きをしながらのセリフや、独白調、書いた手紙を読み上げたりもあるので、セリフを聞きながら判断するのは、かなり苦労しました。(ここがこの舞台唯一の難と言えば難でしたね)
他の舞台でも、同様に複数人数を配置しているのか知ったいる方ががいれば教えてください。
舞台の内容としては総じて良かったと思います。ちょっと切なくもあり、ほっこりもしたり、ヘレンの諧謔や優しさ、フランクの機知や思いやり、とてもよく伝わってきました。滅多に見ない舞台なので、あと3回、もっと多くの人に見てもらいたいですねえ。