ニンゲン御破算 公演情報 Bunkamura「ニンゲン御破算」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    旬の大人計画を知らず、過去作品の再演はその頃を遅まきに賞味しようと、たまに観る。今回のは『キレイ~神様と待ち合わせした女』に通じる風合いがあった。軸となる複数のエピソードが絡み合い、ベタだったり分かりにくかったりするギャグも動員しながら一大叙事詩を前へと進めていく。
    「通じる」と感じた最大のものは、松尾スズキ作品の特徴だろうか、権威に繋がるもの、シリアスなものを茶化す茶化し方、美徳と言われるものの虚飾を剥ぐ剥ぎ方で、今作(明治維新前後の時代設定)では、例えば冒頭、西南戦争の両陣営が衝突する場所を間近に見下ろす土手に婆アどもがベタっと座って緩~り弁当を食っており、「こ、ここは(男の見せ場たる)戦場だぞっ」とやるせなく男ら吠える図、など。
    面白いのだが、(演劇とは押し並べてそうとも言えるが)時代の風俗と密に相関して成り立った作品、であるのだろう、「今この時が旬」とは行かない。ギャグの回し方は古くはないが研ぎ立ての鋭利さはない。過去テキストに息を吹き込むのに何か一工夫要すると感じたのは、再々演『キレイ』も同様だった。長丁場を持たせていたし、作りこ込まれた大作なのは確かで、会場もほぼ満席、終演後の客の表情も良かったが。。

    ネタバレBOX

    なぜ今これをやるのか・・この「問い」を時間の芸術である演劇は大なり小なり問われるものだと思う。「今だから癒やしを」でも立派に(言葉にすれば安易だが)その答えだ。今作はそういう安易な図に収まっていないし、プロテストの構えがみえる舞台であるのだが、どこかそれとは裏腹な、取り込まれている感が残る、それは何なのか。まあ単に有名どころが出ていてメジャーで豪華、その実態とのちぐはぐさか、よくは分からない。
    この舞台をだしに考えるのはここまでにする。

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    2018/07/09 08:53

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