甘い丘 公演情報 えにし「甘い丘」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★

     少し人里離れた所にあるサンダル工場。近隣から余り評判が良くない。

    ネタバレBOX

    無論、ゴムの臭気の問題もある。だが人々の非難は、そればかりではなかった。そこで働く人達が胡散臭いと考えていたのである。ムショ帰り、ズーミ上がり、低能、ヤサグレ、凶状持ち等々胡散臭い連中が集まっていると考えられていたのである。
     だが、このコンセプトの割には、各キャラの描き方に余り突出した所はなく、結果として平板である。取り立てて主人公と呼べる人物を設定してもいないので群像劇と看做すべきなのだろうが、それにしては描かれた各々のキャラが平板であるし、その極めて普通の人々にレッテル貼りをして差別する側との痛烈な対決は殆ど描かれないので、ドラマツルギーが成立し得ない。
     舞台美術はかなり作り込んであるのに遠景に見える山々の連なりはベニヤに茶色をつけただけで、舞台の幅より狭い物だから裏に何も無いのがバレバレという“みむめも”状態。画竜点睛を欠くとはこの事だ。
     脚本をもっとしっかり練り、舞台美術に凝るなら凝るで肝心な所を締めなければいけない。演出家はこういった点にも目を配るべきであろう。因みに群像劇を作るならゾミア*などについても調べてみると良いかも知れない。人間集団の各々の境界、領域などの問題を含め、所謂「蛮族」と呼称されてきた人々の生活形態、生き方そのものの持つ差異を根本的な所から気付かせてくれるであろう。その視座は我ら自身を見直す便にもなり得る。
    *ゾミアについて、簡単な説明は以下を参照のことhttps://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%BE%E3%83%9F%E3%82%A2

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    2018/07/06 23:40

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