満足度★★★★★
当日券キャンセル待ち。
まてよ、平日マチネの住宅地でこの現象。
供給過剰の世にあり、フレームは「モノ」から「コト」へ変化しているという。
このことを「コト消費」とも呼ぶ。
だとすれば その最新だろう。
スタジオに入って驚かされるのは巨大に「建設」された お堂に ふといることである。その額、100万円では済まないと思う。
ここに入った人々は いわば「参加者」として儀式をともに執り行うことになる。
新なる世界の構築といったら言い過ぎか。海中生物で、私たちが目にする機会において たいていは小麦粉の内にある「蛸」を祀り、その解釈からサイコロジーを試みよう、とする「コト」の共有化だ。
厳密には「演劇」というジャンルに区分することはできまい。これはネタバレではないと思うが、逆賊がおり架空の組織が瓦解していく、といったトンチの効いた話でもないからだ。予め立てられた予定調どおり、儀式を執り行う。
劇団からは赤い衣服を提供するようにいわれていたので、受付で渡した。冬の厚手の上着である。やがて、幾人の申し出を何重にも被った役者陣だったが、冬用のワインレッドはダントツに光っていた。
暑かったろう、女優さん…。
跋扈するセゾン文化財団、アサヒ文化財団といった振興基金が特別扱いするだけ、やることが のっぴきならない。しかも、スケールではなく、切り口がなのだ。
「自然」と「密室」のアンソロジーも絶妙である。