緑色のスカート 公演情報 みどり人「緑色のスカート」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    表層的には恋愛のほろ苦い思いが綴られているが、単に恋愛という男女の仲もしくはLGBTだけではなく、人間の関わりが見て取れる物語。シンプルな舞台美術であるが、役者によって情景・状況がしっかり描かれており観応え十分であった。
    (上演時間1時間25分)

    ネタバレBOX

    セットは映写幕、その前に丸椅子6つあるのみ。上演前に部屋や電車窓の風景などが映し出されるが、それは物語に繋がる情景・心象形成で、物語が始まると映像は写さない。もっと言えば照明や音響という舞台技術はほとんど使用せず、唯一あるのは劇中のスナックで歌うシーンぐらいである。すべては役者の体現(パントマイム含む)によって描写される。

    梗概…冒頭は登場人物全員が足を踏み鳴らし、苛々歩き回るところから始まりラストも同様の仕草で終わる。電車内で1人ひとりの呟くシーンは、実際の車内でも見かけるような姿。その限定空間から生まれた人間関係を軸に物語は展開する。色々な恋愛の形態、不器用、自分勝手、自意識過剰の男の都合が描かれる。主筋は同じ喫茶店で働く2人の女性の恋愛またはその前段のありふれた物語。それが芝居的な見せ方になると、男の身勝手な思い-自分はエリ-トで付き合うのが当たり前、彼女が持っている化粧道具を勝手に捨て素顔を求める男、どちらも自分好みの女性(像)になることを強要するなど-実態を無視した空虚な影が忍び込んでくる。日常ありふれた恋愛が1つ間違えば異常な、という皮肉な情景をしっかり描き出す。

    感覚と意識も現代的で等身大のような物語。それゆえ感情移入して心身の内側から蕩揺されて観ていたかと言えば、少し違う。現実的な設定であるが、距離を置いた醒めた目で観劇していたというのが正直なところ。たぶん自分が男で登場人物ほどではないが、多かれ少なかれ抱いているであろう感情を突き付けられたからかもしれない。別の言い方をすれば、人間の特に男・女の間における微妙な思い、感覚に感興した芝居であった。

    淡々とした恋愛物語を芝居にするのは難しいかもしれないが、その内面に潜み沈んでいる暗いものに着眼するところは見事である。
    少し気になるのがラストシーン。話の流れでそういう関係になる可能性はあるが、自分ではあまりに短絡的に思えて…。人-男によって傷つけられた心を癒し慰めるのが人-女になるのか。もっと違うものに救いや希望を見出し、世界観を広げられないものだろうか。

    次回公演も楽しみにしております。

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    2018/07/03 16:57

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