満足度★★★★
昨年の「あ、カッコンの竹」よりは、判り易かった気がした。宇宙人と地球人(人類)が居て、地球人は追い込まれている。侵略の様相だがそれも微妙で、繊細な宇宙人が「あんな事やっちゃったんだもの(憎まれても仕方ない)」なんて台詞はちょうど侵略者の末裔が先住民を慮るような調子で、言わば宇宙人を擬人化して描く事によるおかしみが随所に。「地球人からみれば俺たちこうなんだろうな」と、自己相対化してみる態度は地球人以上にシンパシーの対象だったり。宇宙人がどうやら「海」を消してしまった事で人類は絶滅に瀕しているが、さほど憎しみを抱いてなかったり、恐れていなかったり、ドラマ性が漂白されてナンセンスの味が生じる。「よく判らない話」の部類であるが、面白味があった。突飛な設定も何やら飲ませられる。
果たして、この芝居の中では、人類の絶滅から逃れることが至上命令なのか。必ずしもそうではなく、そうした状況下にあっても、どう存在するか、生きるか、時間や倫理や合目的性を脇に置いて、私たちは人間や人生というものをどう見通すことができるのか・・何が愛すべきものとして見えてくるのか・・大袈裟な表現ではあるがそんなテーマがこの芝居(というかナンセンスそのもの)に埋まっているように思う。