ブラックマーケット1930 公演情報 ユニットR「ブラックマーケット1930」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    鑑賞日2018/06/27 (水) 19:00

    座席1階1列

    今年度は、全作を通して観劇すると決めたリオフェス。。
    すでに観劇済の「野外劇 新譚 糸地獄」「桜の森の満開の下」に続いて3作目の作品です
    ちょっと、言い方は変ですが、先の2作品に比べて舞台劇らしい舞台劇でした。
    アゴラこまばで上演されたということもあるのでしょうけれど。

    アゴラこまばは、リオフェスの聖地という感じだったのですが、今年度はユニットRのみ。少し寂しい感もあると同時に、せっかくの岸田理生さん追悼フェスティバルなのですから、表現の可能性が広がっていると解すれば、ここれはこれで歓迎すべきことかと。

    原作は「ハノーバーの肉屋」
    私はこの脚本を知らないのですが、幾つかの理央さんの作品を混ぜている(あるいは翻案しているが正しいのかな)ようです。(そう役者さんが言われていました)

    ただ、タイトルからわかるのは、第一次世界大戦後のハノーバーの人肉愛好家兼人肉屋のフリッツ・ハールマンの話だということ。
    でも、パンフレットの配役では、ペーター・キュルテンと書いてある。
    あれ、これって、ちょっと年代はズレルけれど、ヂュッセルドルフの殺人鬼じゃない。
    両方とも第1次世界大戦後のドイツという共通点はあるけれど、嗜好が全く違うのに。
    (キュルテンは動物性愛・強姦殺人、ハールマンは男色・人肉嗜好)
    それと、ハールマンを支配するそしてハンス・グランスにあたる少年が少女になっている。

    ここらあたりは、これから観劇する方は、予備知識をもって観られた方がよいかもしれません。ちょっとした趣向として、こうしたのだと思います。

    舞台上では、ひたすら「肉」「肉」「肉」の発声と、食事シーンのオンパレード。
    食欲、性欲、支配欲、そして殺人衝動、これらは通じ合うということを、しつこく教えてくれます。

    ネタバレBOX

    グランスを女性にしたのは、食事それも肉食、ひいては人肉食のシーンを、料理を作るということでことさら強調させたかったのと、ストレートに性欲を強調したかったのではないかと。それにグランスは美少年だったので、変に男性にやらせるとクレームきそうだし。

    肉屋をキュルテンとしたのは、戦後ドイツの殺人鬼を一つの鏡像として見せたいがためではないでしょうか。劇中、肉屋の分身がたびたび出てきますが、これがハールマンではないでしょうか。キュルテンは、ハールマンになった夢を見ている。
    だから、人肉は食べられないし、グランスは男ではなく女なのです。
    ラストシーンで夢?あるいは錯乱状態から覚めたキュルテンが、自分の最期望みとして発する名言「私に残された最後の望みは、自分の首が切り落とされ、血飛沫を噴き出す音をこの耳で聴くことです」を発します。

    初日の懇親会でお聞きしたのですが、読み合わせから通し稽古まで、週1回のペースで計10回程度の稽古しかなかったそうです。ですから、セリフを定着するのに苦労した、と笑ってお話しくださいました。
    他の小劇団も同じようなものなのかもしれませんが、それでも、このクォリティは素晴らしいですね。たった6公演とはもったいない限りです。

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    2018/06/28 12:01

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