満足度★★★★★
鑑賞日2018/06/22 (金) 19:00
初夏、今年も来ましたリオフェス。
昨年、こまばアゴラで拝見した「血花血縄」は、整然とした様式美と淀みのない統率感、そして純度の高い性の抽象化と共存する、淫靡なまでの生々しさ、どこをとっても申し分のない舞台でした。ということで、吉野翼企画は必見ということで「糸地獄」にレッツラゴー。
今回は野外劇ということで、それほど大胆な演出はないだろうとたかをくくっておりましたが、いや、ある意味、過激で過剰。
本来の舞台を客席とし、階段状の客席を舞台することにより、糸屋という遊郭にいる遊女たちの個室1つ1つを具現化することに成功。遊女たちの思い思いの一人語りを「個」としてさせています。この部屋の壁は、ライティングと遊女たちのコーラスによって容易に取り外され、また、男たちが遊女たち1人1人を操り人形がごとく糸で操り始め、主人公繭が遊女たち1人1人に語り掛けるとこで、壁はまた回復していきます。
この影の間を、自由に行き来するのは、黒衣のダンサー。彼女たちは、徹底した傍観者として、遊女たちの一人語りを、観客に披瀝する。
その話に示されるのは、母から娘、そのまた娘、そのまた娘と連綿と受け継がれる、性の業罪。遊女たちは、その業ゆえに男たちの支配から逃れ、逸脱していく。そこにはただ顔のない男たちの躯があるのみ。
うん、何とも言えないエロチシズムが横溢した舞台でした。