満足度★★★★★
一言でいってしまえば「家族」の物語という事になるのでしょうが、あまりにもいろんな感情が染み出してくる深い味わいに驚きました。
現在進行している2方向からの描写や過去の情景等々、演劇テクニック的に何という手法が施されていたのかよく分かりませんが、料理なら「うまッ、コレいったいどうやって作ってんの?こんなの家じゃ絶対できないわー」的な感じ。(う~ん、伝わるのか、この表現で)
作中では家族の歴史とは全く関係のない、おバカな男3人衆がスゴくいいスパイスになっていたのは確かだと思うのですが。
幸いにも自分の父親は本作の様なダメ親父ではないし、家族構成的にも全く異なるので、共感するには遠く離れているはずなのに、だからといってよその変わった家族をただ鑑賞してきたというには、あまりにも心打たれる感触が生々しい。
悩み多き思春期の甘酸っぱさや苦みがたっぷり染み込んだ「家族時代」に培われたものが、親元を遠く離れた現在に、良くも悪くもしっかり繋がっている事をしみじみと噛みしめてしまうからでしょうか。