娯楽天国の“お気に召すまま~As You Like It~” 公演情報 劇団娯楽天国「娯楽天国の“お気に召すまま~As You Like It~”」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    本公演、劇団娯楽天国創立30周年記念第一弾である。劇団のキャッチフレーズ”人生は舞台”はシェイクスピア「お気に召すまま」に出てくる台詞”all the word's a stage”を小倉昌之氏(劇団代表)が超訳したものだという。そこで30周年記念にこの作品を上演することにしたという。
    昨今、目先の利益や快楽に惑わされて大切なことを見失っているような気がする。物事を心の目で見て真偽を見極めること…シェイクスピア作品は場所・時間を越えてそのことを訴えていると思うのだが。
    (上演時間2時間40分 途中休憩なし)

    ネタバレBOX

    舞台セットは張りぼてのような簡素なものであるが、後景の幕が開くとアーデンの森。ラスト、吊るされている豆電球が点滅し幻想的な雰囲気になる。
    当日パンフにしては立派な装丁のもの。そこに原作における人物相関図が載っている。

    梗概…公爵は兄を追放してその地位を奪ったが、兄の娘ロザリンドは手元に置き、自分の娘シーリアと共に育てていた。他方、オーランドーは、父の遺産を相続した長兄によって過酷な生活を課されている。公爵主催の相撲大会で勝ったオーランドーはロザリンドに出会い、2人は互いに一目惚れする。
    公爵から追放を言われたロザリンドは、男装してシーリアと道化を連れ、追放された父が暮らしているというアーデンの森へ向かう。オーランドーもまた、自らの運命を切り開くために兄の元を離れアーデンの森で前公爵に助けられる。オーランドーは男装したロザリンドの正体に気づかずに、彼(彼女)に恋の告白の稽古相手になってもらうが…。

    喜劇「お気に召すまま」は、あれもあり、これもありという矛盾した世界。女は(男装して)男になり、いけないことを楽しむ。矛盾による混迷・混乱がドタバタとして面白く描かれる。人間は矛盾するところが面白い。機械と違って理屈や論理通りにならない、例えば恋に落ちるというのは反理性的であり本能的な行為だが、その”おめでたさ”が喜劇の祝祭性なのだろう。

    人間はそもそも愚かしい存在、そう考えればシェイクスピアの多くの喜劇には道化(フール=愚者)が登場して、登場人物たちの愚かしさを指摘・揶揄している。本公演もタッチストーンという道化が登場する。
    さて、何が正しくて本質なのかその判断は難しい。本当に大切なものを知る、「お気に召すまま」では宮廷を追放された元公爵が森の生活を謳歌し”この世はすべて舞台”と云うが、自分の人生を人生劇場として捉えどのような役を演じているのか自覚できれば…。儚さに尊さがあるとすれば、人生という航海(後悔しないため)の意味を模索し続けるのだろうか、そこにシェイクスピア劇の真骨頂があるのかもしれない。

    次回公演を楽しみにしております。

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    2018/06/23 11:46

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