満足度★★★★
鑑賞日2018/06/13 (水) 19:00
私にフィットする渡辺えり作品だった。上田岳弘「塔と重力」を原作としているそうだが、私は読んでいなくて、実際、世界観を借りたものということらしい。不思議の国のアリスと、阪神淡路大震災を2つの軸として、多彩な登場人物群が夢とも現実ともつかない物語を展開する。初期の雰囲気を残した音楽劇だが、豪華な客演陣を得て、音楽のレベルは確実に上がっているし、そのことで芝居の表現力が豊かになっていると思う。時間と空間を飛び越えて展開される物語は渡辺が得意とする手法だし、オフィス3○○の40周年記念公演に相応しい出来だとは言えよう。
三田和代・久世星佳・土居裕子等のベテランや、舞台は滅多に出ない尾美としのりが興味深い味わいを出しているが、初舞台だという24歳の屋比久知奈の清涼感は際立った魅力がある。