満足度★★★★
『資本論』の実感。
演出家集団・リミニ・プロトコルが、『資本論』を再構成した。
何かを解釈する時に例示は有効で、彼らはそれを有効に利用する。
それも、実際の経験談を本人に語らせるという形で。
その人の経験談が『資本論』とクロスする瞬間がある。
つまり、『資本論』が実感される時だ。
そして、今の時代状況と『資本論』がクロスする。
1867年に刊行された書物が、2009年を説明する。
これ以上に滑稽で痛快なことなどない。
前方の席は、字幕が舞台の上部にあるため、少し観づらい。
後方の席の方が、役者と字幕が同時に観られる可能性が高いと思われる。
字幕を必要とする劇はどうしてもそういったジレンマがある。
かと言って、その人のヴォイスは大切だから、吹替えは望まない。
字幕で巧く見せる方法をどこまでも模索していただきたい。
1年に1度、リミニ・プロトコルが来日してくれることを切に願う。
これほど新作を楽しみにできる団体はなかなか無い。