ピース 公演情報 SPIRAL MOON「ピース」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

     今回は、どちらかというと今迄のどっしり地についた舞台美術というより、もっとモビリティーを感じさせる舞台美術である。
     この劇団は何時拝見しても、その脚本の良さ、演技の質の高さと丁寧で細やかな表現、演出の巧みと切れの良さに感心させられるのだが、今回も期待は裏切られることが無かった。是非、前提条件無しで見て貰いたい舞台である。(追記2018.6.26)

    ネタバレBOX

    詳細は、終演後に書かせて頂くが、設定も素晴らしい。どんな設定かは想像して欲しい。舞台美術でモビリティーがあると書いてある事がそのヒントである。(華5つ☆)
    舞台上に作り込まれているのは、港に係留された船体のイメージであり、出港するのを待っている船の姿だ。無論、板の中央よりやや上手に置かれたテーブル用の造作や、椅子に用いられる箱馬、重なり合う船体の手前に置かれている箱馬などは、総て白である。空や海は照明で表現される。出捌け、下手は船体の合間に1か所、上手は船体と劇場の板へ降りる階段の合間に設えられている。
     話は、少子化の進んだ日本の今後の進路を決める為、厚生労働省と総務省が中心となって人間関係の中核となる家族の今後の方向性を決める為の参考データを取得する為、或る実験をすることが中心だ。この実験の為に集められた一般人が船客であり、担当する官僚たちは、このプロジェクトの成否で出世競争に差が出、参加した人々には成功報酬として下船後の10年間、あらゆる国税が免除される。選ばれたのは様々な世代、職業の人々であるが、報酬は、21日間の航海を終えて無事、目的地の東京へ帰りついたチームの協力者だけに与えられる。無論、チームは、この船の乗員だけではない。数艘の船に同じような条件で人々が乗っている。
     21日間の間に彼らが為すべきことは、疑似家族を演ずることである。シチュエイションはその都度、担当官僚から提示される。
     先に設定が優れていると書いたのだが、何故か分かるだろうか? 無論、船という一旦港を出てしまえば絶対孤絶の世界が、この話の舞台となるからである。即ち、基本的には、船上で起こることは、例えどんなに困難なことであろうと、船の中で解決せねばならぬ、ということだ。死を別にすればどこにも逃げ道はない。これ即ち、演劇として理想の舞台設定なのである、

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    2018/06/14 01:08

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  •  追記、大変遅くなって申し訳ありません。
    暑い折、お体大切に。
                ハンダラ 拝

    2018/06/26 22:58

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