SUPERHUMAN 公演情報 ヌトミック「SUPERHUMAN」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★

     開演前に脚本・演出の額田大志さんから、上演中は写真撮影可能でネット上への公開も可能とアナウンスがあり、2階のカフェで販売している飲み物を飲んでもOKと、何度も丁寧に話しかけてくださいました。砂埃が立つ可能性があるので希望者にはマスクも配布。行き届いた心遣いに触れ、開幕前から気持ちが明るくなりました。

     終演後のトークではAokidさんと額田さんのお話を聞くことが出来ました。質問の時間では、観客の意見をそのまま素直に受け取って、正直な言葉で応えてくださったように思います。前説もそうでしたが、とても風通しがよくて、公平で、気持ちのいいコミュニケーションができました。

     喫茶店やレストランなどが記載された劇場周辺の地図が配布されており、私の知人はそこに載っているお店に食事に行きました。劇場と地域をつないで、観劇だけで終わらせない演出をしてくださいました。

    ネタバレBOX

     床に置かれた四角い枠の中に白い石が敷き詰められており、コンクリートの柱に巻かれた綱から縄文時代を連想しました。演技スペースをL字型に囲む客席から一番遠い舞台奥には、大きなパネルがあり、映像が映されます。カラフルで寒々しいLED照明はプラスチックのような人工的な軽々しさが感じられ、石や綱と対照的でした。

     20代の自分たちが今、ここ(北千住)にいることを身体と言葉で確認しつつ、地球の裏側や時空の彼方へと思考を飛ばしていきます。現代口語会話や身体表現、映像中継などを繰り出して、今、ここ、この時代に自分たちが何をするのか、しないのか、するとしたら何ができるのか…と問うているようでした。

     類人猿からヒトに進化した人類が火の使用をする…といった原始時代の表現がありましたが、暴力的な野生が感じ取れず残念。踏みしめるコンクリートから砂、地層へと想像を広げていく際、床に対する向き合い方が軽いのが気になりました。出演者が「ざっばーん」と発語しても海を想像できませんでした。遠い昔の大海なのか、現代の近場のビーチなのか、イメージ映像なのか、ただの「ざっばーん」という音なのか、詳細に感じ取りたかったです。

     Aokidさんが競泳用水着でダンスを踊ったり、深澤しほさんがラップをしたり、山崎皓司さんがゴリラを演じたりするのは、それぞれの得意技披露だったのでしょうか。素材を活かすことが額田さんの演出方針なのだと思いますが、個人的にはその演技自体を鑑賞するにとどまってしまい物足りなかったです。

     観客に向かって話しかける演技をしても、本当には話しかけていないため、どう受け取っていいのかわからなかったです。出演者の演技については感情とイメージが足りないのではないかと思いました。徐々に単調に感じるようになってしまったこともあり、できれば額田さんの音楽をもっと聴きたかったですね。

     ※ポスト・パフォーマンス・トークで質問したところ、額田さんは俳優がセリフを言う時の感情やイメージは特に指定していないとのこと。口から発する音としての声を重要視されているようでした。

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    2018/06/12 17:13

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