実演鑑賞
満足度★★★★★
タイムトラベルものと言うと60歳以上なら「タイムトンネル(1966-67)」を思い出すだろう。トニーとダグの活躍を毎週ワクワクして待ったものだ。その第一回がタイタニック号であった。この舞台でもタイタニック号が1つのエピソードとして出てくる。「タイムトンネル」は大昔から未来まで行き宇宙人まで出てくるに及んでギャグドラマになってしまった。そんなにいくつも面白い話があるわけもなく30話も続いたのはすごいことだった。
さて、この「タイムトラベラー」ではタイムマシン製作者のイギリス人ジョン・テイラー伯爵が自分の家系を調べるために作ったという設定にしたので、時代は15世紀ヘンリー6世のころから現代までに限定される。そのおかげで(「タイムトンネル」に比べれば)しっかりと地に着いた話になった。過去を順に訪れてみると自分の祖先が結構立派なことをしているのに驚き、つい決定的なアドバイスを与えたりしてしまう。タイムパラドックスを一応気にしながらもどんどん影響を与えてしまうのはご愛敬。
祖先が皆、有名な事件に居合わせるというのはお芝居だから当然なのだが、これをどうやってエンディングに持って行くのかが現代に近づくにつれて心配になってくる。そこでジョンが明かしたタイムマシンを作った本当の意味を知って私は脚本のうまさに感動したのであった。
ミュージカル座は名前の通りに、素晴らしい歌声を聞かせてくれる。ダンスは現代的なキレッキレというものではないが、このステージにはピッタリのもので十分に盛り上げてくれる。フランスでのレジスタンス運動の場面では“「レ・ミゼラブル」のようでしょう”という煽りが入って、その通りで笑ってしまった。
珍しくポスターが売っていた。A2版(594x420)で500円。
最後に「タイムトンネル」が観たくなった昔の子供たちをがっかりさせることになるがDVDは英語音声版しかないのだよ。字幕もなし(泣)
*2023年に日本語音声版が出た(喜)