レイニーレディー 公演情報 ことのはbox「レイニーレディー」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    「雨」がキーワードであるが、公演初日も雨であり情緒的な印象を持った。現実にありそうな展開であり、身近な問題として興味深く観させてもらった。
    (上演時間1時間40分) 【Team葉】

    ネタバレBOX

    セットは、中央に段差と2階部を設けそれぞれ公園や病院の屋上等をイメージさせる。上手側は喫茶店内、カウンターやテーブル席がある。下手側には生垣とBOX椅子。空間の配色は、中央部は灰色(道路や建物)、一方喫茶店は木製の温もりが感じられるもの。この配色は物語の展開、演出に大いに関わっている。

    梗概は雨が強く降る、ある日のこと。櫻井玲子は婚姻届を出しに市役所に向かう途中、信号無視をした車に轢かれた。そして足が動かなくなった。車を運転していたのは、広告代理店勤務の春田みゆきで、連日連夜の残業でぼんやりとした意識の中運転していた。赤信号だと気付いた瞬間には手遅れだった。2人のレディーに降り注ぐ絶望の嵐。彼女たちを取り囲む家族・恋人・友達の悲喜交々のシリアスヒューマンドラマ。

    身近に起きそうな出来事を正面から捉えた物語。幸福の絶頂から不幸のどん底へに落とされた玲子(篠田美沙子サン)のやる瀬無い気持、その捌け口を加害者のみゆき(田中菜々サン)へぶつける。一方みゆきは事故後、2年経過しているが精神的ショック、玲子の激感情に耐え兼ね心療内科へ通院している。被害者は非のない自分が受けた仕打ちへの苛立ち、加害者はそれに真摯に対応すればするほど苦しくなる。その情景・状況が痛いほど伝わる。

    みゆきを心配する恋人や喫茶店の人々。さらには心療内科の医師、看護師の助言が救いであるが...。喫茶店・吉村店長(加藤大騎サン)が自分の過去を語ることによって みゆきを励ます件は抒情的で心が打たれる。この温かさは舞台美術で引き立てられているようだ。被害者の「恨むことで生きられる」という俗体としての姿、一方加害者でありながら「生きることに疲れた」という側々とした姿を対照的・印象的に描く。その両者の心情を舞台技術(照明の諧調や雨音の音響)が情緒的に表す、実に上手い演出である。演技は限られたスペースで車いすの操作をするのは難しいであろうが、実に巧く操っていた。

    少し気になったのは、自分の好みでもあるが探偵のキャラがお調子者すぎて浮いた感じに思えた。例えば恋人の前田隼人がみゆきにプロポーズするシチュエーションを店長やウエイトレスの夏美に協力依頼する微笑ましいシーンのような軽いノリの方が好かった。
    もう一つ、初日のせいもあろうがダンスシーンが不揃いであった。このダンスシーンは役者紹介もあろうが、冒頭の玲子の結婚祝福、ラストのみゆきの幸せを暗示する、その喜び表現だけに調和してほしかった。

    次回公演も楽しみにしております。

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    2018/06/07 18:02

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