満足度★★★★★
観客参加型の即興的要素の多い推理劇です。基本的にコメディですが犯人当ての部分はガチです。なかなか面白い方式で私は大いに楽しめました。こういうものの愛好家には絶対のお勧めです。
カーテンコールで、その場限りのものなのでネタバレという概念はなく何でも書いて結構という発言があったので、少し丁寧に紹介しておきます。
「インプロカンパニーPlatform」という団体は「即興と台本の越境(コンセプト・インプロ)」を旗印に、いろいろなイベントを主催しているようです。観客からお題をもらったり、重要な選択を観客に委ねたりするのが特徴です。
今回の「その探偵の名、~エコソン少年の殺人~」ではおおよそ以下のように仕掛けになっています。私も初めての観劇なので細部で間違いがあるかもしれませんがご容赦を。
まず短い殺人のシーンの後、刑事と7人の容疑者が登場します。
容疑者は被害者の愛人や家政婦、会社の部下などです。
容疑者は
殺意/嫉妬/尊敬/母性/友情/依存/恐怖/愛情
と書かれた8枚のカードから1枚を引きます。これは容疑者が被害者に対して持っていた感情を表します。もちろん「殺意」を引いた者が犯人となります。だれが何を引いたかは観客にも本人以外の役者にも分かりません。
容疑者はその感情を持っていることを表すようにアドリブを加えて台本を演じます。どの程度、感情を表に出すかは役者に委ねられているようで、さりげなく、しかし後で振り返ったときに「あれがそうだったのか、なるほど!」といわれる演技をおそらく目標としているのでしょう。
本編が始まる前に、殺された被害者の職業を観客に決めてもらいます。私の回は「不動産」という発言だったので「不動産屋の社長」ということになりました。以下、台本をそのように読み替えて演技をするのです。
そこからは刑事(と一部で観客)の指定した容疑者(1~2名)と被害者との最近のエピソードが演じられます。それを見て刑事がその容疑者の持っている感情(=引いたカード)を当てます。ここはいくつかの候補から観客の拍手で決めたりもします。当たった場合は以後、刑事と一緒に推理をすることになり、外れた場合はそのまま演技を続けます。一定の長さの演技をしますので、そう何回も当てる機会があるわけではありません。私のときは6~7回目くらいで犯人を当てましたが、それ以前の公演では時間切れで当てることができなかったそうです。刑事は被害者役も演じるので、忙しくて推理に集中できないので無理もありません。
観客がすることは上で書いた以外に最初に配られる小さな紙にキーワードを書いて提出することがあります。その紙は集められ、途中の寸劇の中でくじ引きされて使われ、話をカオスに陥れたり、歌の題名になったりします。なお、解答用紙を回収して正解者には賞品というような企画はありません。
劇の途中で意見を聞かれたりするのは困るという人は、×マスクをもらうことができますし、前2列、通路側2列を避ければまず聞かれないでしょう。
なんだか説明がよく分からないという方も含め、ここまで読んだ方はぜひ劇場へ!