隣のゾンビ 公演情報 タッタタ探検組合「隣のゾンビ」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

     ホラーなのだが、タッタタの手に掛かると喜劇だよ~~が、滲み出てくる。

    ネタバレBOX

    この辺り流石と言わざるを得ない。陰謀もある。裏切りというか色仕掛けもある。而もゾンビだからホラーなのであるが、ソフィスティケイトされたホラーで、タップゾンビとパフォーマンスゾンビ、それからペットゾンビ迄揃っていて、墓守とはツーカーなのである。墓守の仕事は、毎朝、朝刊を持ってきてやること、だから南北戦争で戦死した元南軍兵士も世情に詳しい。序でと言っては失礼だろうが、墓守は、墓掃除もしている。こういったことも笑えるではないか⁉ 
     思いがけない場面で、観客の予想を裏切ってくれるパフォーマンスや科白があって擽りを入れてくれると同時に、舞台美術がシンメトリーを基調としていることから見て取れるようにベースが非常に安定しているのでソフィストケイトされた笑いが精巧なパズルのように実にキチンと収まるのだが、上に記したように予期せぬ擽りが入るので一瞬たりとも目が離せない。
     無論、ゾンビの話だから、舞台は墓場である。墓地を囲むように後景には、白い柵が張り巡らされている。舞台中央には、遺体安置所へ入る暗渠が口を開けており、下り階段が設えられている。その両側には墓石へ続く上り階段、墓碑銘は無論アルファベットで書かれている。アレンジされた南軍の旗の飾られた墓地すらある。墓石によっては、十字架を彫り込んだもの、十字架の形のものもある。下手墓地の手前には、木製ベンチがある。
     このようなセットで演じられるのは、実はゾンビの話ではない。それは添え物である。実際描かれているのは、ゾンビという形でしか表現し得ないほどに歪んだ我々の家族関係である。単純だが、深い。最高の料理の持つシンプルな深さを味わう為に、我々はここまで捻りを利かせなければ最早素直に現実と向き合えない時代にいるということが喜劇なのである。お見事!

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    2018/05/19 01:41

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